AITTA

JOURNAL

2024.08.15染め直し


お客様より承った 昭和初期と思われる正絹長着
鮮やかな赤紫は大正から昭和にかけて 女性に一番人気の色だったとか
すっきりとした縞に笹竹 この着物を着ていらした女性の後ろ姿が見えるようでした

解き洗いの工程で もう一つのときめきがありました
裏をよく見ると 違う絵柄が残っているではありませんか
筆描きのような草木が 淡く でもしっかりと痕跡が見てとれました

昔の人の知恵は素晴らしいですね
薄い色の着物や 汚れが気になった着物を 濃い色柄に染め直し また仕立てる
サイズアウトした着物を 子供着に仕立て直す
パッチワークのように糸で模様を刺し ツギハギも楽しむ

使い捨ての現代とは 全く価値観の違う豊かな時代でした

その精神を 心を 見ることができた日 私は何となく幸せです

お客様の元で形を変え あとどれくらい 世の中で生き続けてくれるのでしょう
そのお手伝いをさせて頂けた それが何よりの感謝です 

T様 ありがとうございました